【ネタバレ含】魔法少女まどか☆マギカ 最終話まで観て

第10話までを事前に観ていて、ほむらの悲壮な決意と交わした約束に想いを馳せ、
妄想想像たくましく結末までの展開をあれこれ夢想しておりました。
期待値は凄まじく、並の結末じゃあ拍子抜けするぜ、ってなもんで、
ある意味でかなり危険な期待のかけ方だったような気がします。


妄想した今後の展開の焦点としては、以下の2つ。
・まどかは魔法少女になるのかどうか?
・ほむらの目的をまどかが知ることはあるのかどうか?


事前の私の妄想では、そのいずれも「なる」「知る」でした。
「もういいよ、もういいんだよほむらちゃん」と優しく微笑みかけるだろうと
そこはもうかなりハッキリと想像していました。
ほむらが止まるには、目的を果たすか、まどか自身に行動を認められることしかないと。
でも、恐らく「ワルプルギスの夜」で現れる魔女の強大さを思えば、
ほむら一人で目的を果たせるとは思えず、そして仮に果たせたとしても、
恐らくそれはほむら自身の目的が消失するわけで、あとは消え行くのみになってしまうはずで救いがなく、
その妄想は当然の帰結でした。
となると、その展開を如何に描くか、描いてくれるかと言うことが期待の焦点。


第11話冒頭で、視聴者がみな気になっていたであろう事実が明かされます。


過去のルートでは、ワルプルギスの夜と対峙したまどかの結末が、
現在辿っているルートからは想像できないこと。
キュゥベえに史上最強にして最悪の可能性を秘めている、と言わしめたほどの力が
少なくとも初期のルートのまどかにはないこと。
その理由を明かされたほむらの心の苦しみ、動揺は如何ほどのものだったでしょう。


「素質は、その人間が背負った因果律の強さに比例する」
「並行世界を幾度となく繰り返すことで、まどかを中心とした因果が形成されている」
「並行世界を繰り返すほど、まどかの力は増してゆく」


まどかを想いしてきたことが、皮肉な結果を生んでいる。
引き裂かれるほどの痛みを覚えたことでしょう。


キュゥベえはインキュベーターと人類の歴史をまどかに語り、
それで今まで設えられてきた舞台のほぼ全てが整います。


まどかはほむらを訪ね──そしてそこで、ほむらの真実を告げられます。
いやぁ、この展開はちょっと想像していませんでした。
自らの口からまどかに、自身がループしていること、まどかを守りたいことを
ここまでストレートに告げさせるとは思っていませんでした。
ある意味で直球展開なのですが、私は逆に、第1話で「夢での中で会った、ような…」と
言わしめてるわけで、今までのループを現在のまどかが気付く展開がありうると思っていた。
(でもそうすると某ひぐらしか? って話にもなりかねない気はします。。。)
それは余談として、この場面は非常に涙が溢れ出そうで困りました。
気持ちがあくまで真っ直ぐで、本当に真っ直ぐで、ほむほむはマジほむほむでした。←


でも、このシーンを見て、私はまどかが魔法少女になると確信しました。
もともとまどかは、とても芯が強い子です。
一番最初の、分岐前のルート。
まどかとほむらが最初に逢った並行世界で、マミが死んだ後、まどかはワルプルギスと対峙します。
「わたしは魔法少女だから」「みんなを守りたい」そう語ったときのまどかの表情の強さ。
自分にしか出来ないことがあって、自分になら出来る方法があるのなら、
きっと彼女は迷わないだろう…と。


ワルプルギスの夜
ほむらは一人でさまざまな兵器を駆使し、戦いを挑みますが、恐ろしいその魔女は
一切の攻撃を受け付けません。すぐにほむらは劣勢に立たされます。
(余談ですがここのアクションシーンがまた格好いい)


まどかは、何かを決意したようにほむらの元へ向かいます。
その際の愛する家族…母とのやり取りは、本当に響きます。
そのときにはもう、自身の結末が見えていたはずで、改めて見直すときっとまた違う気がします。


ワルプルギスの圧倒的な力に、そして自身のしてきたことの意味に絶望するほむら。
ソウルジェムが絶望に黒く濁り始めたときに、まどかはキュゥベエとともに駆け付けます。
その表情の、晴れやかさと言ったら。


ここまでが第11話。
もうここから先は私の想像の範囲を超えていたというか、あまり考えないようにしていた部分で、
はたしてどのような結末を魅せてくれるのかと期待と不安が交錯していました。
出来れば、やはり間に1週間の時間が欲しかった。
そして放送時間帯的に私の頭が働いてなくてやや解釈が追いつきませんでした。密度が濃すぎて。


まさかここまで途方もない願いを叶え、まどかが天使や女神を越えて
概念になろうとは想像もしませんでした。
○○は人生、とか○○は文学とかよく言われますが、確実に今後言われるとしたら
まどか☆マギカは概念」だと思います←×


願いは、過去現在未来の全ての魔法少女から「絶望」を奪い、全ての魔女を生まれる前に消してしまうこと。
魔法少女システムの根幹にして概念を書き換えてしまう、まさしく女神のごとき業。


この発想には正直心底驚きました。
それにより人間としての、魔法少女としてのまどかの存在は消滅、
自身の魔女化ですら自らの手で消滅させてしまい、概念へ。
存在自体の痕跡すらも消え、全ての愛する人からの記憶からすらも消え去ってしまう。
それだけの覚悟を持って、そう、11話での母とのやり取りをたぶんもう一度見返したらきっと涙を禁じえない。
自らの愛した全てのものを救い、希望へと導く──。
いなくなったわけではなく、「どこにでもいる」存在に。


余談ですが、"世界に偏在する"というわけで、唐突に私が13年前に妄執のごとく偏愛していたアニメ、
serial experiments lain」の岩倉玲音のことを思い出しました。
ああ、彼女も形は違えど、友人を守るためにその身を捧げたんだったな──と感慨。
余談終わり。


概念を作り変えたまどかの手により、世界はもうひとつの可能性へ。
魔法少女は夢と希望を与える存在へと。
魔女のいない世界。
しかし、本質的に魔法少女と言う存在とインキュベーターが存在する世界。
その世界では、魔獣と魔法少女が戦いを繰り広げている。


まどかが願ったことは運命を変えることではありません。
巴マミは事故に遭うし、さやかの想い人である上条も怪我をします。
杏子の父親は家族とともに心中してしまうし、ほむらが魔法少女になることも改変はしていません。


ただ、与えられる結末に救済が訪れます。
並行世界の時間軸で魔女化したさやかも、最後はまどかの力により救済され、希望の中で「消滅」する。
さやかだけ消滅が描かれ扱いが救われてないんじゃ、という意見もあるかもしれませんが、
世界を呪い自らの運命を呪い世界に災厄をもたらす魔女と言う存在に
変貌しないと言うだけで、どれだけの救いでしょう。
かつて愛したものですら呪い滅ぼさなければならないのが魔女の呪いなのです。
世界を、愛したものを愛したまま消滅できるなら、それはひとつの救済です。


ほむらは、まどかから最後に受け取ったリボンを身につけ、終わりのない戦いの道を行きます。
まどかの母や弟とのやり取りはまた実に感動的で、改めてみるときっと涙が溢れ出て止まらない。
ほむらの戦いの先に何があるのか。
きっと、その身が滅びるまで、過酷な戦いは続くのでしょう。
でも、最期の瞬間に待っているのは、希望を与える存在、まどかとの再会。
まどかは全ての魔法少女を救うための存在となり、どこにでも、いつでもそばにいるのだから。


きっとその瞬間は、ほむらにとって何物にも代え難い最高の瞬間。


ラスト近くのシーンで表示された英文。


―Don't forget.  
忘れないで 
always, somewhere,
いつも、どこかで 
someone is fighting for you.
誰かがあなたのために戦っていることを 
―As long as you remember her.
あなたが彼女のことを忘れない限り 
you are not alone. 
あなたはひとりじゃない


とても意味深で、かつ何と大胆な提示でしょう。
改めて昨日観た放送を冷静に思い返してきましたが、何と大胆に大風呂敷を広げ、
そして綺麗に纏め上げたでしょう。
本当に素晴らしく、緻密に計算されつくした作品だったと思います。


途中までは影が薄いと言われていた主人公・まどかですが、最後に全てを持って行ったように思います。
この作品の正ヒロイン・ほむらとの関係も、実に惹きつけられてやみません。


Blu-rayはすでに全巻予約済みです。
最終巻だけ予約当時まだ定価がいくらか決まっていない、ということで未入金ですが、
第5巻までは全額内金で支払い済みです。
今ひとたび彼女たちに逢えることはこの上なく幸せなこと。
特典周りも楽しみで、これから半年がとても贅沢な時間に思えます。


正直なことを言えば、最終話を見たリアルタイム時点では、情報量の多さに戸惑い、
素直に「面白かった」「凄かった」と言えなかったのですが、思い返して書くにつけ
徐々にじわじわ心の奥底から何かが湧き上がってきております。
その感覚は、今まで書いた内容を見てもらえれば分かってもらえると思います。
こういう作品の方が、結果的に長く心の中に留まることでしょう。


この作品を送り出したスタッフのみなさまに、感謝。
そしてここからまだまだ続くマギカワールドを、非常に楽しみにしています。
番外スピンオフのコミック連載がどうなるか、まだまだ目が離せませんよ。


さ、とりあえずこの週末にもう2回か3回は見直そう!
まだ1回しか観てないからきっと解釈とか怪しい部分あるよ!
(英文部分は録画を一時停止して確認したけれど)
そして明日はかずみ☆マギカ連載のフォワード本誌発売日♪
そっちも楽しみだ!


この作品が長く愛される作品でありますように。
そう願って、雑感を締めくくりたいと思います。
ここまで長文を読んでいただき、有難うございました。。。